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Tracks1. Softly as in a Morning Sunrise (Sigmund Romberg) 7:14
Arr. Donald Brown 2. Pomponio (Bobby Hutcherson) 6:59 Arr. Donald Brown 3. The Sound of Music (Richard Rodgers) 8:12 Arr. Donald Brown 4. L’s Bop (Lenny White) 6:17 Arr. Donald Brown 5. Sakura (Japanese Folksong) 3:01 Arr. Alan Maguire 6. Hamabe no Uta (Tamezo Narita) 5:06 Arr. Donald Brown 7. Speak Low (Kurt Weill) 6:17 Arr. Donald Brown 8. Lady in Jazz (Keith Brown) 6:46 Arr. Keith Brown 9. Inner Urge (Joe Henderson) 8:34 Arr. Carl Maguire カール・マグワイア Carl Maguire, Drum アラン・マグワイア Alan Maguire, Bass ドナルド・ブラウン Donald Brown, Piano (2, 3, 6, 7) カーク・ウェーラム Kirk Whalum, Tenor Sax (3,6,7) トム・ウィリアムズ Tom Williams, Trumpet, Flugelhorn (2, 3, 7, 8, 9) ドン・アリクゥオ Don Aliquo, Tenor Sax (1,2,4,8,9) Soprano Sax (3,5,7) キース・ブラウン Keith Brown, Piano (1, 4, 5, 8, 9) エクペ・アビオト Ekpe Abioto, Percussion (2, 3, 5, 7) ナイジェル・ヤンシーNygel Yancey, Percussion (2, 3) Kirk Whalum appears courtesy of Mack Avenue Records Producer: Donald Brown Executive Producer: Yuki Maguire Recorded on May 29, 2014 at Ardent Studios, Memphis, TN, USA Recorded, mixed by Pete Matthews/Ardent Studios Mastered by Kevin Nix/L. Nix & Co., Inc. Photography by Yuki Maguire Cover design by Audiographic Masterworks, LLC |
ライナーノーツドナルド・ブラウン
プロデューサー、ジャズピアニスト(アート・ブレーキー&ジャズメッセンジャーズ)、作曲家、テネシー州立大学准教授、グラミー賞6回ノミネート 音楽は世界中の人々が共有する最も強力なユニーバーサル言語である。ジャズの巨匠、アート·ブレイキーは常々、「音楽は日常生活でたまったほこりを洗い流している」と語っていた。彼の言う通り、私もずっと、サウンド・オブ・ミュージック、つまり音楽の音色とその癒しの効果に今も魅せられ続けている。そしてまた、ジャズの教育者である私は、折りあるごとに学生たちに「音楽のおかげで、全く思いがけない場所に行けたり、素晴らしい人と出会えたりすることがあるものだ」と話している。メンフィスで幼少時代を過ごした私は、音楽に導かれて世界中を旅し、その中で沢山の非常に素晴らしい人々との出会いを経験してきたのだ。一年ほど前にカール・マグワイアとアラン・マグワイアという驚くべき二人の若者との出会いもまさにそれであった。私はこの機会にぜひ、みなさんにこの二人の若い音楽家たちを紹介したいと思う。 私は、テネシー大学ノックスビル校の教員として各種教育機関を訪れる旅の途中、メンフィスのスタックス・ミュージック・アカデミーに立ち寄った。今までたくさんの優秀な学生たちに出会ってきたが、その中でもカールとアランは特に印象に残る学生だった。この日本とアメリカの国籍をもつ子たちは本物だ!と、感じたのだ。双子である彼らは、すでにどんな音楽のリズムセクションも演奏ができるだけのしっかりした基礎を身に付けていた。彼らは、さまざまなスタイルの音楽が演奏できるだけでなく、ジャズに注ぐ情熱においても群を抜いていた。このCDは、彼らが一年間、私と共に学習し、演奏してきた課程の集大成である。私たちはブルースからはじめ、ニューオーリンズのセカンドラインミュージック、日本の伝統的音楽など、多岐にわたって探求したので、CDの選曲も困難を極める作業だった。しかし、聴き手の立場に立って選んだこれらの曲は皆さんに存分にお楽しみいただけるものと確信している。 ジャズには多くの時代背景や文化が盛り込まれている。みなさんにはこのCDを通して、カールとアランがジャズという音楽をいかに真摯に受け止め演奏しているかを感じていただけるだろう。私はこの二人の若者から最良の演奏が引き出せるよう、共演ミュージシャンを慎重に選んだ。その結果として、演奏者たちの間に生まれた化学反応は、全くすばらしいものだった。三人のジャズマスターがこのレコーディングに参加し、演奏をさらに実り豊かなものとしてくれた。カーク・ウェーラム(サックス)が参加出来ると言ってくれたときは、心の底から嬉しかった。この30年間一度も一緒に演奏することがなかったのに、彼の演奏はたちまち私を虜にした。その演奏は、世界中の人たちを魅了する以前と変わらぬ暖かさ、魂、知性に溢れていた。偉大なトム・ウィリアムズはジミー・ヒース、ゲイリー・バーツ、スミソニアン・ジャズマスターワークス・オーケストラなどと共演、そして90年代初期にはウォレス・ルーニー、ロイ・ハーグローブ、ニコラス・ペイトンなどと共にジャズシーンを沸かせたトランペット奏者の一人だ。ドン・アリクウォはミドルテネシー州立大学で教鞭を執る傍ら、現在もヒューバート・ロウズなどと共演している。そして、私の末息子キース・ブラウンは才能あふれるピアニストであり、最近は作曲家としてもその才能が世に認められつつある。 またカールとアランは二人ともピアノに親みはじめ、すでに作曲や編曲にその才能の片鱗を見せはじめている。カールが編曲したジョー・ヘンダーソンのクラシック「インナーアージ」、そしてアランの編曲の日本の歌曲「さくら」、これらの曲からその才能を確認して頂けるであろう。スタンダードの「スピーク・ロウ」では双子が難なくスイングし、テンポを刻む様子はとても聞き応えがある。さらにご注目すべきは、「ソフトリー・アズ・イン・ア・モーニングサンライズ」でアランが繰り広げるドン・アリクウォとの掛け合いの演奏と、「インナーアージ」の中でリズミカルなドライブで演奏されるソロだ。そして忘れてはならないのが、カールが「エルズボップ」において激しくスウィングし、彼のヒーローの一人であるレニー・ホワイトを彷彿とさせる爆発的な演奏を繰り広げるシーンだ。彼らは、天性の伴奏者であり、それぞれの曲に特別な個性を与えられるよう各ソリストたちの演奏をよく聞き分け、それに合わせている。彼らのジャズ演奏歴がまだ2年にしかならないことは驚きというほかはない。あ、私は彼らがほんの最近18歳になったばかりだということを申し上げただろうか? みなさんがお聴きになるのは、彼らの音楽を演奏するために注ぐ情熱、創造力、素直な熱意そのものなのだ。 私はあのときスタックスミュージックアカデミーで、この若獅子たちに出会えたことに感謝する。カール・マグワイア、アラン・マグワイアのデビューに深く関わるということで音楽はまた私たちに褒美を与えてくれているのだ!お手元のこのCDには、最高の創造と献身が詰まったソウルを宿した音楽がつまっている。さらに大切なのは、この音楽は、私たちが世界のどこからやって来たかなどに関係なく、皆が楽しむことのできる喜びと感情を表現している点だ。生命の発祥以来、「サウンド・オブ・ミュージック(音楽の音色)」は私たちとともにあり、私たちの人生にサウンドトラックを提供してきてくれた。どうぞ、この機会にカール・マグワイアとアラン・マグワイアがお届けするサウンド・オブ・ミュージックをみなさんに心ゆくまでお楽しみ頂ければ私にとって望外の喜びである。 ……人生とはなんとすてきなものだろう! カーク・ウェーラム サックス奏者(ホイットニー・ヒューストン)、スタックスミュージックアカデミー、アーティスト・イン・レジデンス(常任アーティスト)グラミー賞受賞者 「その瞬間、私はそこに居た!」 誰だって、こんな言葉を言ってみたいと思っているものだ。特にそれが、光り輝き、誰の記憶にも残るような瞬間となれば、なおさらのこと。まさにこの二つの言葉こそは、マグワイア家の双子にあてはまるだろう。カールとアラン、…そう、x2なのだ!!彼らの前途が明るく上へ上へと続き、さらに非常に遠くまで続いていることは確かだ。この若者たちは、音楽を真摯に受け止めている。それと同時に、音楽を楽しむことにも長けている。そこがまたなんとも素晴らしい二人なのである! |